抄録
我々は,確率共鳴の原理で動くルーズカップリングモータの原理を提案した.細胞膜の間に付属したプロトンポンプの働きで,水素イオンの静電的膜電位を形成される.形成されたポテンシャルが,水素イオン流を加速し細胞内部に流入させる.水素イオンの電位勾配による細胞内へのプロトンの流入過程でで,多くのプロトンは,膜(グリカン膜と細胞膜)内に埋め込まれたmotAに衝突する.motA膜複合体は,確率共鳴現象を生じる.この共鳴は,量子論的にはコヒーレント状態である.外力(水素イオンのmotAへの衝突)により生じる量子コヒーレント状態は,motAのポテンシャルエネルギー曲線を下方に押し下げる.これにより以前の基底状態は,もはや最低エネルギー状態ではなく,シフト後の新しい基底状態よりエネルギー的に高い状態となり,過剰となるエネルギーを放出する.これにより基底状態の下方への変位が維持され,これにより,鞭毛モータが回り続けるのである.