日本釀造協會雜誌
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釀造物中に於ける「アルデハイド」類の成因に就て (第五報)
山田 正一
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1928 年 23 巻 8 号 p. 19-26

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抄録

一、乳酸叉は乳酸溶液を加熱蒸溜する時は一部は分解して「アセトァルデハイド」を生す
二、「アラニン」に等量又は倍量の葡萄糖、果糖、変芽糖、簾糖、「ガラクトース」、乳糖、「アラピ、ノース」等の糖類を混じ水溶液の状態にて加熱蒸溜せしむる時は徐々に反應して「メラニン」共他を生成すると共に「アセトァルデハイド」を生す。糖分自身又は「アラニン」のみにては「アセトアルデハイド」を得られない此の際乳酸、號珀酸又は共の混合物を加へるも、特に「アルデハイド」の増牧を認め得ない
三、「アセトアルデハイド」は「アラニン」以外「アスパラギン」酸曹達、「アスパラギン」、「グルタミン」酸曹達、「シスチン」等の「アミノ」酸又は其の盤類「アマイド」等の糖類との反應によりても「アミノ」酸を母として生成する
四、「ロィシン」と砂糖との反懸によりては「イソヅアレルァルデハイド」を「フエニルァラニン」を以てする時は「フエニルァセトアルデハイド」を生する事赤堀氏の研究結果に同じ
五、「グリココール」と糖類との反慮に於ては相當する「アルデハイド」なる「フォルムァルデハイド」の生成を認められない。又「チロシン」の反懸成果物も不明である〈HR〉六、各種糖類と「アミノ」酸との反慮に於て溜液中に認めらるゝ「フルフロール」様物質は単濁に糖分の加熱により來るものと解せられる
七、以上の結果より判するに第三報に於て述べたる「アルデハイド」中「アセトアルデハイド」は乳酸の加熱分解により又糖類と「アミノ」酸との相互反應の結果「アラニン」、「アスメラギン」酸、「グルタミン」酸、「シスチン」等を母体として生成するものと考へられる
八、「ヴアレルァルデハイド」は同様にして「ロィシン」より來り、「イソプアレルァルデハイド」を主成分とするものであらう
九「フルフロール」様物質は単濁に糖分の分解により來るものと考へられる (後報)

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