日本釀造協會雜誌
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瀬の研究 (二)
瀬を使用したる細菌培養試驗 (承前)
松本 憲次佐々木 子之吉
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1931 年 26 巻 2 号 p. 17-20

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抄録

一、瀬に各種類の醤油細菌を培養して見ると、可なり繁殖して生酸する様ではあるが、然し未充分に瀬の成分を利用し書せない様である。其れで麹液の如き補助液をご、三割添加してやると可なの生酸量を堆して來る。(勿論添加麹液より生する生酸量を加算して) 印ち瀬の成分の利用價値が増進するのである。此の場合、多量の麹液を使用すると云ふ事は、却つて生酸量が減つて來る傾向がある
一、瀬を硫酸で輕き加水分解を行ふて、其れに乳酸菌を培養すると、瀬に麹液を添加したと同じ程度に生酸量を増して利用價値が高まるのである一、瀬を硫酸で適當に輕く加水分解を行ふて、其れに各分量の糖蜜を添加して乳酸菌を培養して見たに、等量の混合のものが生酸量が最も多いのであるが、然し二割添加から六割までの添加の生酸量と云ふものの差が非常に少ないから、経濟の事を考慮に入れたならば、二割程度に添加するのが最も有利となる繹である。而して各試験の場合で見ると、何れのものも、水素「イオン」濃皮の憂化は、最初四日目頃までは可なり急激な憂化が現はれるけれども、其後は極めて緩徐に變化するのである。それで實際の番水などに應用する時は四- 五日間で繁殖を中止して利用すれば宜しい鐸である

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