日本釀造協會雜誌
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酵母に依る「ノルマル」型「アミノ」酸の分解に就て (二)
山田 正一
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1931 年 26 巻 9 号 p. 15-20

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抄録

一高級「アルコール」に特有なる「ヴアニリン」硫酸反慮を以て検索するに、「アスパラギン」に代ふるに諸種の「アミノ」酸を以てせろ變形ハイグツク氏液に、清酒酵母を培養せる場合、「ーグリココール」(○ ・〇一二五- ○ ・一%) 右旋性及び「ラセミ」性「アラニン」(〇・〇五- 〇・一%)、「ラセミ」性「アルファアミノ」正酪酸 (〇・〇七- 〇・一%) 等に於て、括弧内に示せる程度の「フーゼル」油の生成を認めた。
二上記の培養法に依る揚合、「ラセミ」性「ヴアリン」、「ラセミ」性「ノルヴアリン」を以てせる場合には、「フーゼル」油生成は僅少である (〇・〇三% 程度)。
三右旋性「アラニン」と、「ラセミ」性「アラニン」、左旋性「ロィシン」と、「ラセミ」性「ロィシン」とに於て、「フーゼル」油生成景を比較するに大差が無い。
四前記の諸例に於て「フーゼル」油は、用ゐたる糖分, 酵母蛋白質の分解の結果に由來するの謹を得られす、全く用ゐたる「アミノ」酸より來るものと考へられる。
五接種酵母量が多大なる時は、徒に糖分の清費と酒精醗酵のみ進行し、「アミノ」酸の分解悪しく、「フーゼル」油生成も僅少である。
六「アスパラギン」、「グルタミン」酸曹達、燐酸「アムモニウム」、硫酸「アムモニウム」等を以てする場合、「フーゼル」油の生産は殆ど皆無である。
七用ゐたる「アミノ」酸中、「ロイシン」、「アラニン」の兩者は最も醗酵旺盛にして、「アスパラギン」、「グルタミン」酸曹達之に次ぎ、「アミノ」正酪酸、「グリココール」、「ノルヴアリン」は稍々悪しく、「ヴアリン」に於て醗酵最も因難であつ索。燐安、硫安等は大體「ロイシン」乳等と同様醗酵順調である。

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