日本釀造協會雜誌
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飮食物中のフォルムアルデヒードの檢出に就て
山田 正一白井 稔
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1936 年 31 巻 2 号 p. a63-a65

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抄録

1.葡萄糖, 果糖, 蔗糖の濃厚水溶液を蒸溜すれば溜液はフォルムアルデヒードの諸反應及びフルフロール反應 (アニリン醋酸) を顯著に與へ蒸溜殘渣は次第に褐色度を加ふ。
2. 上の場合溜液をエーテルにて浸出すればエーテル浸出部にはフルフロール反應を呈する物質 (融點31°のオキシメチルフルフロールなり) は移行しフォルムアルデヒード反應を呈する物質は殘存す。後者は蒸溜により濃縮する事は困難なるもアムモニアを加へて蒸發濃縮し得らる。多分フォルムアルデヒード其物ならん。
3.清酒中のフォルムアルデヒード檢出に際し普通程度の蒸溜法を行ふは支障無きも濃厚となりたる蒸溜殘渣につき共儘又は之に水を追補して蒸溜を張行する場合には溜液フォルムアルデヒード反應を與ふるに至る事あり。
4.多量の糖分を含有する液 (味淋, 洋酒, 糖蜜, 蜂蜜等) を蒸溜すれば原液にフォルムアルヂヒードを含有せすとも溜液はフォルマリン反應を呈すべし。

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