日本釀造協會雜誌
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醤油粕の利用に關する研究
松本 憲次齋藤 幸彌
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1943 年 38 巻 7 号 p. 435-441

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抄録

一、醤油粕を磨碎して蛋白質含有多き細胞粒部と繊維部に分け化學成分を究め、收得量細胞粒部六五・五繊維部二・四% を得更に洗滌液の成分を分析した。
一、水洗醤油捨粕に麹菌、くものすかび及酵母、馬鈴薯菌等を移植して粕中の化學的成分の變化を調べた、大體脂肪、繊維、炭水化物が減少する全窒素の含量は増加するが、唯だ麹菌と馬鈴薯菌の共に繁殖したものは全窒素が減少する。
一、醤油粕に灰分を添加したるに麹菌の繁殖は可良となる。リゾープス屬を繁殖せしめたに、何れも前同様に脂肪、炭水化物が減少した全窒素は低減したものもあるが、第二囘試驗に於ては何れも全窒素量が増加してゐる。
一、含窒素の少ない粕の繊維部に毛かび、青かびを繁殖せしめた、粗脂肪と炭水化物が減少し繊維と全窒素が増加し、殊に毛かびの如きは繊維及全窒素の増加が可なり著しい。
一、捨粕に籾殼を交ぜ繁殖せしめた場合には粗脂肪の含量が低減する。
一、人工培養液にくものすかびを繁殖したに菌體に脂肪を生成す、九%餘を示した。
一、脱脂大豆に絲状菌を繁殖せしめたにリゾープスは五日目に於て増加したが他は何れの場合でも減少した。

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