日本釀造協會雜誌
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ブドウ酒防腐剤に関する研究
櫛田 忠衛滝 千代子
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1955 年 50 巻 9 号 p. 530-526

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抄録

微生物の発育阻害剤として既に多くの合成薬品や抗生物質が知られ, これらの中から各食品に対する適当な防腐剤が発見され研究されているブドウ酒に就ては, 従来, 専ら亜硫酸又は異性重亜硫酸カリが賞用されており, 一近時我国でも一般に使用されるようになつた。しかし亜硫酸の臭気を嫌悪する向もあり, 耳つ還元糖の多い甘味酒には相当多量に用いなければならない欠点がある。
一方本邦ブドウ酒の疾病としては, 当研究所の数年来の研究によつて, 主なるものは各種産膜性酵母による産膜化と醋酸菌, 乳酸菌による酸敗であり, この中乳酸菌による疾病は主に醗酵中に起り易く生成生ブドウ酒には稀であることが明らかにされた。
著者等はブドウ酒貯蔵中における主に産膜化と醋酸敗を防除する薬剤探求の目的を以て, 先ず今回10余種の菌阻害剤のブドウ酒に対する効果を試験したのでここに報告する。

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