日本釀造協會雜誌
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簡易酒母省略仕込について
姫野 国夫富部 忠篤
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1965 年 60 巻 11 号 p. 999-1000

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抄録

(1) 酒母省略仕込の方法として, 酵母を麹汁に培養し, 水麹を前日に, 踊り期間を延長して実施したが, 少量の酵母液で安全にもろみが熟成し, 酒質は普通仕込に比較して遜色のないものが得られた。
(2) 製成諸歩合, 成分, きき酒成績の結果のt検定では酸度を除いて有意差は認められなかった。酸度は多いるが, 増醸酒における乳酸, コハク酸の添加量を調整す事によって市場性を損うことはないと考える。
(3) 全体的な傾向としては, 酒質は芳香高く, 淡麗な酒となり, 下出の報告と一致した。そしてこの欠点は熟成酒母の4段仕込, 調合技術などにより充分補えると考える。
(4) 一般の工場において実施する場合には初期のものに実施し, 酒母育成と併行して行なえば, 仕込期間の短縮が計られる。さらに汲水, 麹の配合法などを検討すれぽ充分実用化するものと考える。

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