日本釀造協會雜誌
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醤油諸味仕込初期における窒素成分, 特にアミノ酸の溶出について
越山 育則鹿島 春海野村 圀夫井口 信義
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1967 年 62 巻 12 号 p. 1437-1442

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抄録

醤油諸味仕込初期における窒素成分の溶出, 特にアミノ酸の溶出について検討を加え次の結果を得た。
1) 麹の球態で存在する遊離アミノ酸量は僅かであるが, 可溶化されている窒素は出麹中の総窒素の約20%であった。
2) 大半のアミノ酸は諸味状態になって急激に溶出し仕込後1か月を経過すると最終生場醤油中に存在するアミノ酸の約70%が溶出してしまう。しかしその溶出速度は各アミノ酸でかなり差がある。
3) チロシンの諸味液汁中に最も多く溶けている時期は仕込後約1週間でこの時期を境にし烈しく折出し同時に液汁中に溶けている量も減少してくる。
4) 折出したチロシンの大半は最終的に醤油粕に移行し麹中に存在するチ緯シソのうちで遊離チ獄シンとして粕に移行する量は約40%であり, 醤油中に残った量は約14%であった。また粕全体に存在するチロシソ量は出麹中のそれの約60%であった。
5) 醤油粕中のアミノ酸組成は大体醤油のそれと似ているがチμシンが多くフェニールァラニン, ロィシンがそれに次いで多い。特に醤油粕の水抽出液中のチロシンは他のアミノ酸に比して断然多く, 抽出される総窒素の約10%をチロシンに由来する窒素が占めた。

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