日本釀造協會雜誌
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清酒の螢光に関する研究 (第5報)
YSの成因とその他の螢光性物質について
高瀬 澄夫村上 英也酒井 佑江頭 勇次牧野 正則
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1968 年 63 巻 8 号 p. 881-888

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抄録

第4報で報告した黄緑色蛍光性物質YS (C16H14N2O3) は酸性溶液中でブドウ糖とトリプトファンが熱反応して生成するものである。
各種のアミノ酸の中では熱反応でTry, His, Ph-alaなどの環状構造をもつものが最も強い蛍光性物質を生成する。
清酒を溶媒酢酸エチル, エーテル, アセトン-により系統的に処理分画し, 各区部の蛍光スペクトルを測定し, さらにおのおのをシリカゲルクロマトグラフィーにより分画し, 各分画のペーパークロマトグラフィーを行なって, 清酒中の全蛍光性物質の検出を行なった。多種類の青色~ 黄緑色, 稀に紫色の蛍光性物質かが検出されたが, この中古酒および日光照射酒にはフエルラ酸が消失して存在しないことを再確認するとともに, 特に酢酸エチル可溶区分に非常に青色蛍光の強いフエノール性物質の存在することを認めた。

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