1.金沢国税局管内の清酒製造場55場の清酒麹中の細菌数を調査したところ, 2.2×103~1.2×108/gの範囲で平均値1.3×107/gであった。このうち乳酸菌の検出された製造場は9場であった。
2.麹中の細菌数は, 12月中は比較的少ないが, 醸造が進み1月, 2月になると増加する。この傾向は製麹室殺菌後の日数との間に深い関係が認められた。
3.床の敷布を毎回取りかえることにより細菌数の少ない出麹が得られる結果がみられた。
4.本調査では, ブタ麹, 箱麹, 床麹法に比較して簡易自動製麹機の方が細菌数は少なかった。
5.種麹の種類が出麹細菌数におよぼす影響よりも, 製麹条件の影響の方が大きいものと推察された。
6.もろみの酸度への影響については, 麹中の細菌ともろみの酵母純度の面から調査したが, いずれも関連性は認められなかった。この点に関しては, さらに酒母の影響やもろみの溶解糖化, 発酵の強弱などの影響をふくめた多面的な調査研究が必要と考えられる。