日本釀造協會雜誌
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清酒中の揮発性カルボニル化合物について
来間 健次岩野 君夫衣山 陽三中村 伝市河地 元彦
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1970 年 65 巻 1 号 p. 69-73

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抄録

清酒中の揮発性カルボニル化合物を窒素ガス通気法により2, 4一ジニトフェニルヒドラゾソとして捕集し, 薄層クロマトグラフィーとガスクロマトグラフィーにより, 主として内地米酒と外米酒 (ビルマ米酒, 加州米酒) との差異について検討したところ次のような知見が得られた。
1. 窒素ガス通気法により捕集された総揮発性カルボニル化合物の量は, 新酒より古酒の方が多く, また内地米酒より外米酒の方が多かった。
2. 清酒中の総揮発性カルボ論ル化合物のうちのアセトアルデヒドの量は, 内地米酒より外米酒の方が多かった。
3. flash exchange法によるガスクロマトグラフィーで清酒中の揮発性カルボニル化合物を検索したところ, アセトアルデヒド, プロピオンアルデヒド, iso-パレルアルデヒド, n-カプロンアルデヒド, アセトン等の既報の成分のほかに, 新しくiso-ブチルアルデヒド, n-ブチルアルデヒド, クロトンアルデヒドと, さらにn-バレルアルデヒド, メチルプロピルケトン, ジエチルケトンの混合ピークが検出された。
4. 内地米酒に比べて外米酒に共通して多く検出された成分は, アセトアルデヒドのほかにアセトン, iso-ブチルアルデヒドおよびiso-バレルアルデヒドであった。

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