日本釀造協會雜誌
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清酒中の鉄, マンガン, 亜鉛, 銅含量について
戸塚 昭難波 康之祐小武山 温之
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1970 年 65 巻 12 号 p. 1116-1119

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抄録

昭和45年4月醸造試験所春の鑑評会に出品された吟醸酒のうち上位29点および下位20点, 43BYおよび44BYに醸造された原酒41点, 市販酒特級11点, 1級21点および2級19点中の鉄, マンガン, 亜鉛, 銅の含量を原子吸光法によって測定した。
吟醸酒上位と下位の平均価は, それぞれ鉄0.055, 0.064ppm, マンガン1.551, 1.727ppm, 亜鉛0.573, 0.570ppm, 銅0.039, 0.062ppmであり, 上位と下位の間の差の有無について検定を行なったところ, いづれの金属も分散および平均値に差が認められない。但し銅の場合上位と下位の分散に差が認められるが, 下位の清酒のうち0.308ppmは異状値と考えられるので, この値を除外すると差が認められなくなる。
特級, 1級, 2級で製造場の同一のもの10場を選び出し, 分散分析を行なうと, 鉄は, 級別により差を認め, 平均に対する95%信頼限界は, 特級0.084±0.044ppm, 1級0.117±0.044ppm, 2級0.132±0.044ppmであった。マンガンは, 製造場間, 級別間に高度に有意差があり, 95%信頼限界はそれぞれ1.752±0.139ppm, 1.635±0.139ppm, 1.469±0.139ppm, 亜鉛は製造場・級別に差があり, 95%信頼限界は, 1.375±0.184ppm, 1.458±0.184ppm, 1.718±0.184ppm, 銅は製造場間に有意差があり, 級別に有意差が認められない。95%信頼限界1よ0.134±0.058ppm, 0.139±0.058ppm, 0.153±0.058ppmであった。

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