日本釀造協會雜誌
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光線および貯蔵による清酒の変化に関する研究 (第5報)
清酒の変化に対する各種還元性物質の影響
中村 欽一蓼沼 誠茂木 宏治浜地 正昭佐藤 信
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1970 年 65 巻 2 号 p. 153-158

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抄録

清酒にフェノール系, インドール系化合物, その他の還元性物質の標準品を添加して, 日光照射時の着色と日光臭の発生, 貯蔵時の着色と老ね香の発生をしらべ次の結果を得た。
1.照射フラスコの上部空間を窒素ガス置換すると, 日光着色は抑制されるが, 日光臭の発生が促進される。貯蔵に対しては窒素ガス置換の有無は影響しない。
2.日光着色は2価, 3価のフェノール系化合物の大部分, OH置換基を有するインドール系化合物, インドール, スカトール, インドール酢酸, アンスラ論ル酸, 3-ヒドμ キシアンスラニル酸.キヌレン酸, キサントレン酸デフェリフェリクリシンの添加によって促進され, フェルラ酸, カフェ酸アスコルビン酸エリソルピン酸ナトリウムによって抑制された。
3.日光臭の発生はアスコルビン酸, エリソルビン酸ナトリウムおよび塩化鉄の添加によって促進され, プロトカテキュ酸, カフェ酸, デフェリフェリクリシン等によって抑制された。
4.貯蔵中の着色はドパ, ヒドロキノソ, 4-ヒドロキシクマリン, 没食子酸, 3-ヒドロキシインドール, イソドール酢酸3-ヒドコキシアンスラニル酸, ピルピンアルデヒド, ダイアセチル, アスコルビン酸, エリソルビン酸ナトリウムの添加により促進された。

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