1971 年 66 巻 4 号 p. 416-419
黒麹菌Aspergillus awamori strain No.1007を原株とし, 60Coのγ線照射による突然変異誘起について研究し次の結果を得た。
(1) 供試株の分生子はAsp.usamii strain R-0635, Asp.awamori strain BL-5-9と同型の生存曲線を示した。分生子の変異率は1.0×105radまでは照射線量に比例して増加した。
(2) でん粉分解能乏酸生成能は, いずれもγ 線の照射線量が増加すると, 度数分布曲線の中央値は原株より減少した。いずれの場合も6×104および8×104rad照射区で著しい影響を受けた。
(3) でん粉分解能については, 6×104rad照射区からspが原株の1.5倍の力価を有する1株を, 酸生成能では8×104および6×104rad照射区から酸生成能が原株の2倍に高められた変異株を各1株得られた。
(4) 酸生成能の向上した変異株2株を, 乙類焼酎製造に供試して, 醪1000l規模の実地試醸を行ないアルコール収量の増加および麹歩合半減の点で好成績を収めた。