日本釀造協會雜誌
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酢酸菌とその利用に関する研究 (第11報)
原料処理の違いによる食酢醸造中の遊離アミノ酸について
柳田 藤治福井 順一金子 紀子山本 泰小泉 幸道
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1974 年 69 巻 11 号 p. 759-764

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抄録

同一原料を用い, その処理の有無による酢酸発酵中の遊離アミノ酸について検討を行なった。
各仕込を通じ仕込時に多いアミノ酸はAla, Asp, ProとGluであった。特徴的なのは麦芽を使用した場合は特にProが多いことである。これらのアミノ酸は酢酸発酵中に減少したので菌により代謝されるものと考えた。
同一原料でアルコール発酵の有無による全アミノ酸量を比較すると, 米酢では食酢もろみ仕込直後の量は両者変らず, いずれも酢酸発酵により減少を示した。
酒粕のもろみでは, アルコール発酵させたもろみの方が食酢もろみ仕込直後の全アミノ酸量が多く, しかもこのもろみでは酢酸発酵中に全アミノ酸量の増加がみられた。
麦芽酢ではアルコール発酵させないもろみの方が食酢もろみ仕込直後の全アミノ酸量が多く, 原料処理の有無にかかわらず酢酸発酵中に減少した。
ブドウ酢とリンゴ酢では果汁をアルコール発酵させたもろみの方の全アミノ酸量が多く, 酢酸発酵中に減少した。

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