1976 年 71 巻 3 号 p. 191-195
1.エチルアルコールの存在によって蒸米の消化性が低下し, みかけの老化様の現象が観察された。
aアルコールはα-amylaseの活性をやや阻害するが, 失活を妨げ, また基質の澱粉自体にも特異的に作用している。
3.蒸し直後の蒸米は短時間 (30分間) の水浸漬処理により, 急速に吸水を行い, 吸水後はアルコールの影響を受け難くなった。
4.高濃度アルコールに浸潰した場合は, その後10%に調整しても前処理条件の影響が認められた。
5.アルコールを取り去り, 水と置換すれば容易に消化性の回復が認められることから, アルコールの蒸米への作用は「一次的な硬化現象」であると仮称した。
6.白米中の蛋白をアルカリ処理で除去しても, 気中放置による老化の進行は防げなかった。
7.放置蒸米を高温 (55℃) 短時間 (15~30分間) 加熱浸漬処理することで消化性の回復が認められ, これは熱による吸水膨潤性の回復が原因であろうと考察した。
8.放置蒸米の乾燥, 凍結処理で, 処理前に比較して2倍程度の糖生成が見られた。