日本釀造協會雜誌
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微量亜硝酸イオンの微生物に及ぼす影響 (第1報)
米麹製麹中の亜硝酸イオンの消長並びにそれが麹かび胞子の発芽におよぼす影響について
下岸 伊作
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1976 年 71 巻 4 号 p. 305-307

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抄録

在来法による米麹製麹中各仕事時に試料を採り, griess reagentによるNO2-の定量分析を行い, NO2-の消長の検索を行った結果その最高は, 切返時 (25ppm) であった。他方, Asperlgillus oryzae W27を米粒に接種, 純粋培養により製麹した試料ではNO2-は不検出であった。したがって在来法による製麹中生成する麹米粒のNO2-は製麹中に発生する硝酸還元菌によるものと考えられる。また切返し時の試料を取り, 之を圧潰して, griessreagentを滴下し, 米粒表面の着色を観察したが, 米粒表面にかなり高濃度のNO2が生成することがわかった。以上のことから, NO2-含有培地を使用しての麹菌胞子の発芽試験を行った結果, その発芽時間はNO2-に影響され, その濃度が高いと著しく遅延されることが観察された。

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