日本釀造協會雜誌
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清酒もろみの並行複発酵に関する研究 (第9報) 発酵速度と蒸米の溶解
布川 弥太郎角谷 貞夫
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1978 年 73 巻 5 号 p. 392-396

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抄録

1) 清酒もろみ中における蒸米の溶解促進要因をしらべるため, 酸性プロテアーゼ含量の異る2種の酵素剤を用いて検討した。もろみの発酵はα-アミラーゼ, グルコアミラーゼレベルを規制し, 15℃および20℃で行った。
2) 酵素剤が異ってもグルコアミラーゼレベルが同じなら, 発酵速度はほぼ同じであった。しかし発酵速度はほぼ同じでも, 酵素剤の違いにより蒸米の溶解は大きく異っていた。
3) 蒸米の溶解がほぼ同じであったもろみの発酵速度を比較した結果, 同じ酵素剤同志では発酵速度もほぼ同じであったが, 酵素剤が違えば大きく発酵速度は異っていた。
4) もろみ中の酸性プロテァーゼレベルに対し蒸米の溶解量をプロットしたところ, 400units/9白米のレベルまでは直線的に, 以後は漸減的ではあるが1000u箆its/9白米のレベルまで溶解量は増加していた。
5) 以上の結果, 蒸米の溶解促進要因は酸性プロテアーゼであり, 蒸米の溶解が促進されればグルコァミラーゼレベルに応じてグルコース生成も促進され, したがって発酵も促進されるものと考えた。

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