日本釀造協會雜誌
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酵素分解による米中のジメチルスルフィド前駆物質の定量
古米使用清酒の特異臭に関する研究 (第8報)
高橋 康次郎森 千博大場 俊輝難波 康之祐
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1980 年 75 巻 8 号 p. 674-679

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抄録

米中のDMS前駆物質 (DMS-pre) の定量法を設定し, 収穫年度, 貯蔵温度を異にする各種白米中のDMS-pre含量を測定した。さらに, 古米化の判定結果との関係についても検討した。
1) 米および蒸米のDMS-preは, 蒸留水では溶出されず, 糖化酵素 (三共製コクラーゼSS使用) の作用によって初めて液中への溶出がみられた。
2) 米からのDMS-preの溶出のための最適の糖化条件は, 白米10gから調製した蒸米を, α-amylsaeとして500units/g-riceのコクラーゼSSを含むMcIlvaine buffer (0.1M, pH4.5) 50ml中で, 50℃, 6時間糖化する方法であった。
3) 糖化濾液中のDMS-preの定量法としては, 濾液10m1をpH7.0に調節後, アンプルに封入し, 100℃, 3時間加熱後, 25%エタノール40mlを含む200ml容三角フラスコに移し, head space法によって, 生成したDMSを測定する方法が最適であった。
4) 収穫年度を異にする各種白米 (29種) のDMS-pre含量を測定した結果, 8種の新米ではすべて不検出であった。一方, 1年貯蔵米 (17種) では, 常温又は準低温貯蔵米でDMS-preの検出されたものが多かったが, 低温貯蔵米では, 新米と同様すべて不検出であった。また, 2年貯蔵米 (4種) では, 常温貯蔵米でもあり, すべてに多量のDMS-preが測定された。
5) 各種白米のDMS-pre含量と, 古米化の判定結果との間に, γ=0.533**(n=29) の高度に有意な相関関係が認められた。

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