日本釀造協會雜誌
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固型物上における麹菌の増殖と分生胞子着生におよぼす温度・水分活性の影響
櫻井 米吉塩田 日出夫
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1981 年 76 巻 2 号 p. 129-133

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抄録

麹菌培養物のグルコサミン量と分生胞子数を指標として, パンを用いた固型物培地上での麹菌の増殖におよぼす培養温度, 培地の水分活性 (Aw) の影響について検討したところ以下の結果を得た。
1. 供試菌株のいずれも培養初期の比増殖速度は35>30>25℃ の培養温度順に高く, 培養の進行にともなって低下するが高い培養温度の場合がより早く低下した。
2. 培養温度を高めると分生胞子着生の開始が早くなった。
3. 培地Awを上昇させると菌体増殖が促進され, 供試株に対してはAw0.98~0.99が菌体増殖の好適範囲であった。
4. 菌体増殖量当りの分生胞子着生数は培地Awを上昇させると著しく低下し, 培地Awの分生胞子着生におよぼす影響は菌体増殖への影響と逆の関係にあった。
5. 高温培養または高Aw条件下では増殖にともなう物質消費が増加したが, 物質消費量当りの菌体増殖量は高Aw・低温の培養条件で高く, 逆に低Aw・高温の培養条件で低下した。

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