過量の飲酒が健康を害することはいうまでもないが, 少量の飲酒は健康にプラスすることがある。本稿では少量飲酒有益論の医学的根拠について述べていただいた。本文中で解説されているように, 近年発見された血清リポたんぱくのHDL成分を増加させて動脈硬化を防ぐことと, 脳の新しい皮質の抑制で古い皮質系を解放し文明病を予防することは, 確実視されている。これは飲酒長寿論につながるもので, プロカイン長寿法とも関連があって, 寿命統計とも決して矛盾しない。問題は過量にならない飲み方にあり, その一法として家庭での晩酌が勧められる。