日本釀造協會雜誌
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高級ワインの有機酸組成と有機酸成分間の相関関係
島津 善美上原 三喜夫渡辺 正澄
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1982 年 77 巻 9 号 p. 628-633

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抄録

日本, ドイツおよびフランス産高級ワインの酒石酸, リンゴ酸乳酸, コハク酸, クエン酸の含量, 総有機酸含量 (TOA) およびリンゴ酸/酒石酸および (MIT) 比とワインタイプの関係ならびにこれら8囚子間の相関関係について検討した。
日本白ワイン, ドイツ白ワイン (Kabinett, Spatlese, Auslese, Beerenauslese, Tr0ckenbeerenauslese, Eiswein), フランスシャブリ白ワイン, フランス赤ワインのタイプ別試料106点について, 上記8因子の平均値, 標準偏差を算出した。各タイプの酒石酸リンゴ酸酢酸, TOAおよびM/T比にかなりの差異が認められた。日本ワインは, ドイツおよびシャブリワインよりTOAが少なく, MLFの発生は, ほとんどみられなかった。ドイツワインの上記6タイプのリンゴ酸含量は, 有機竣6成分のなかで最も多く, またそれらのMIT比は, 日本およびシャブリワインより高い値を示した。ドイツワインの乳酸含量は, 比較的少なかったが, フランスのシャブリと赤ワインの乳酸含量は, かなり多く, MLFの発生が高いことが認められた。
さらに上記8因子問の相関関係を検討した。試料全体 について相関を求めた結果, リンゴ酸は酒石酸のほかに, MLFに起因する乳酸と酢酸およびコハク酸と1%危険率で相関関係があり, ワインの有機酸組成を決定する中心的役割を演じていることが明らかにされた。またタイプ別の相関分析の結果, ドイツワインの酒石酸とクエン酸, リンゴ酸と酢酸乳酸とクエン酸ならびにシャブリのリンゴ酸とクエン酸, 乳酸と酢酸との間にそれぞれ5%危険率で相関関係が認められた。酒石酸とクエン酸の相関関係は, 原料のブドウ果汁の有機酸組成の差異に, また他の4つの間の相関関係は, MLFによるものと考えられた。また各タイプの酒石酸およびリンゴ酸は, TOAと相関関係にあることが示された。

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