日本釀造協會雜誌
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胚芽添加仕込によるアミノ酸の少ない清酒の製造
香味に特徴のある清酒の醸造に関する研究 (第1報)
北本 勝ひこ三宅 優渡辺 誠衛中村 欽一
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1985 年 80 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

白米の胚芽残存率と, それを用いて仕込んだ清酒のアミノ酸度との間に, 高度な負の相関が認められたので, それを確認するために胚芽単独に添加した仕込を行い, その効果を確認した。
胚芽添加仕込により得られた清酒は, 次のような成分的特徴を持っていた。
1. アミノ酸度, 総窒素, OD260, OD280, 酸度等は胚芽の添加量に応じて減少した。特にアミノ酸度は対照の50%となった。
2. 各アミノ酸のうち, オルニチン, トリプトファン, プロリンを除いてすべて減少したが, 顕著な減少を示したアミノ酸のなかに高級アルコールの生成に関与するバリン, ロイシン, イソロイシン等のアミノ酸の減少が含まれ, それに相応する高級アルコールが増加した。
3. 有機酸のうち, 清酒にとって好ましくない酢酸, ピルビン酸の減少が顕著だった。
終りに, 御校閲頂いた醸造試験所所長, 佐藤信博士および第6研究室室長, 吉沢淑博士に感謝いたします。

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