熱傷
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看護
看護師からみた後期高齢者熱傷患者の疼痛と離床との関連についての検討
橋爪 沙恵濱島 綾子安永 能周近藤 昭二杠 俊介
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2020 年 46 巻 2 号 p. 64-69

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抄録

 高齢者熱傷患者は離床が遅れ日常生活動作が低下することが多いとされている. 第1研究として看護師へ離床を促すケアについての質問紙調査を行った結果, 疼痛を高齢者の熱傷患者の離床における一番の問題と捉え, 看護ケアに取り組んでいることが明らかとなった. そこで第2研究として, 疼痛と離床との関連について検討した.
 過去10年間の75歳以上の熱傷入院患者25名を後ろ向きに調査した. 基本的属性のほか, 熱傷部位, 熱傷面積, 転帰先, 入院日数を診療記録から抽出し, 離床時の疼痛の有無で統計学的な比較を行った. さらに離床時の鎮痛剤投与の有無と入院日数との関係について検討を行った.
 離床時に疼痛を認めた患者は15名 (60%) であり, そのうち鎮痛剤投与を要した患者は7名 (47%,全体では28%) であった . 疼痛の有無による, 熱傷部位, 熱傷面積, 退院の差はなかった. 平均入院日数は離床時疼痛あり35.4日, なし31.0日で有意差を認めなかったが, 離床時の鎮痛剤あり47.6日となし24.8日では有意差を認めた.
 看護師が離床時に鎮痛剤を使用すべきと考えた患者は入院日数が長く, 疼痛が離床を妨げ, 入院日数を延ばす要因の一つとなっている可能性が示唆された. 以上のことから, 看護師の疼痛の訴えを客観的に捉え, チーム医療で早期にかかわるための調整を行う役割が重要であると考えられた.

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© 2020 一般社団法人 日本熱傷学会
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