熱傷
Online ISSN : 2435-1571
Print ISSN : 0285-113X
46 巻 , 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 山倉 凌太, 大谷津 恭之, 窪 昭佳, 上原 理恵, 岡田 邦彦
    2020 年 46 巻 2 号 p. 45-50
    発行日: 2020/06/17
    公開日: 2020/06/17
    ジャーナル フリー
     高齢化に伴い, 高齢者の低温熱傷や暖房器具の誤使用による熱傷の報告は多い. しかし, 浴槽での熱傷に焦点をあてた報告はこれまでにほとんどなく, 要因など不明な点も多く対策が立てられていない. 今回, 自宅浴槽で熱傷を受傷した高齢者症例の原因と経過を後ろ向きに調査し, その予防対策について検討した. 2014~2018年に, 当院救命救急センターで入院加療した80歳以上の熱傷患者で, 自宅敷地内で受傷した患者を対象とした. そのうち, 特に浴槽内での熱傷について受傷状況, 患者背景, 重症度から詳細を検討した. 80歳以上の自宅敷地内での熱傷患者は22症例で, 浴槽内受傷は4例だった. 4例中1例は湯の入った湯沸かし機能付き浴槽内に転落した. 3例は2ハンドル混合水栓 (湯の蛇口のみを開放すると熱湯が出る) で受傷した. そのうち女性2例は変形性膝関節症があり, 排水した浴槽から脱出できず受傷した. 3例とも臀部や下肢に浅達性Ⅱ度熱傷~Ⅲ度熱傷を認めた. 受傷要因としては, 入浴による血圧等の変化から起こる一過性脳虚血に起因する判断力低下や, 筋力低下等の身体的要因で浴槽からの脱出が困難となることのほか, 2ハンドル混合水栓そのものの危険性が考えられた. このうち, 熱湯注入による熱傷は浴室給湯システムの変更で予防が可能であり, 自宅の危険要因調査や予防対策を地域保健のネットワークなどと協力して行う必要がある.
  • 風戸 孝夫, 寺嶋 咲絵
    2020 年 46 巻 2 号 p. 51-59
    発行日: 2020/06/17
    公開日: 2020/06/17
    ジャーナル フリー
     【目的】熱傷後の肥厚性瘢痕に対する治療法として圧迫装具が使用されている. 今回われわれは, 圧迫装具を作製し使用した熱傷瘢痕症例につきその効果を検討した.
     【方法】2013年8月から2017年10月の間に熱傷瘢痕用圧迫装具を作製・使用した熱傷患者25例28部位において, 年齢, 性別, 部位, 熱傷深達度, 手術の有無, 装具開始時期および使用期間, 同時に併用した外用療法, 使用前後の瘢痕評価, 効果, 合併症を検討した. 瘢痕の評価はVancouver Scar Scale (以下VSS) を用い, 効果は同スコア改善度を3以下 : 不良, 4~6 : 可, 7以上 : 良として判定した.
     【結果】使用部位は上肢が最も多く, 熱傷深達度は深達性Ⅱ度熱傷が最も多かった. 装具の使用開始は創閉鎖後平均11.7日で, 使用期間は最短2週間から最長3年7ヵ月, 平均約1年1ヵ月であった. VSSによる瘢痕評価では約8割で使用前より改善がみられた. 合併症は, 掻痒感, 不快感, 接触性皮膚炎, 装具の破損等がみられた.
     【考察】われわれが使用した装具は熱傷瘢痕に合わせてさまざまな形態を作製することができるため, 年齢や部位を問わず使用できるという利点があり瘢痕の改善効果が得られた. また外用剤など他の治療法と併用することで, より複合的な治療も可能となる点, 長期使用における費用も比較的安価である点も有用であった. 一方で装着不快感や掻痒感のほか, 圧迫効果の減弱や破損等の問題点がみられた. 対策として装着感や耐久性, より効果的な形態等の改善に対する検討が必要と思われた.
症例
  • 植木 春香, 佐藤 孝道
    2020 年 46 巻 2 号 p. 60-63
    発行日: 2020/06/17
    公開日: 2020/06/17
    ジャーナル フリー
     症例は81歳の男性.炎天下での農作業中に運搬機ごと斜面を横転し, 腹臥位で左下肢を車体の下に挟まれ, 約3時間後に救助された. 着用していたズボンと黒いゴム長靴にガソリン汚染を認めた. 救助後当院へ搬送され, 左下腿・踵化学熱傷 (7%TBSA), 高張性脱水, 横紋筋融解症の診断で入院となった. 左下肢は連日の洗浄および外用治療を行い, 下腿は1ヵ月で上皮化したが, 踵部は皮膚全層壊死となったため, 受傷50日目にデブリードマンと内側足底皮弁による再建を行った. 術後経過は良好で, 術後1年で潰瘍の再発は認めず歩行可能である. 踵のみが全層壊死となった原因は, 炎天下で長時間黒いゴム長靴を装着したことによる低温熱傷と考察した. プレホスピタルケアにあたる救急隊との情報共有の重要性を再認識した.
看護
  • 橋爪 沙恵, 濱島 綾子, 安永 能周, 近藤 昭二, 杠 俊介
    2020 年 46 巻 2 号 p. 64-69
    発行日: 2020/06/17
    公開日: 2020/06/17
    ジャーナル フリー
     高齢者熱傷患者は離床が遅れ日常生活動作が低下することが多いとされている. 第1研究として看護師へ離床を促すケアについての質問紙調査を行った結果, 疼痛を高齢者の熱傷患者の離床における一番の問題と捉え, 看護ケアに取り組んでいることが明らかとなった. そこで第2研究として, 疼痛と離床との関連について検討した.
     過去10年間の75歳以上の熱傷入院患者25名を後ろ向きに調査した. 基本的属性のほか, 熱傷部位, 熱傷面積, 転帰先, 入院日数を診療記録から抽出し, 離床時の疼痛の有無で統計学的な比較を行った. さらに離床時の鎮痛剤投与の有無と入院日数との関係について検討を行った.
     離床時に疼痛を認めた患者は15名 (60%) であり, そのうち鎮痛剤投与を要した患者は7名 (47%,全体では28%) であった . 疼痛の有無による, 熱傷部位, 熱傷面積, 退院の差はなかった. 平均入院日数は離床時疼痛あり35.4日, なし31.0日で有意差を認めなかったが, 離床時の鎮痛剤あり47.6日となし24.8日では有意差を認めた.
     看護師が離床時に鎮痛剤を使用すべきと考えた患者は入院日数が長く, 疼痛が離床を妨げ, 入院日数を延ばす要因の一つとなっている可能性が示唆された. 以上のことから, 看護師の疼痛の訴えを客観的に捉え, チーム医療で早期にかかわるための調整を行う役割が重要であると考えられた.
地方会抄録
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