抄録
症例は81歳の男性.炎天下での農作業中に運搬機ごと斜面を横転し, 腹臥位で左下肢を車体の下に挟まれ, 約3時間後に救助された. 着用していたズボンと黒いゴム長靴にガソリン汚染を認めた. 救助後当院へ搬送され, 左下腿・踵化学熱傷 (7%TBSA), 高張性脱水, 横紋筋融解症の診断で入院となった. 左下肢は連日の洗浄および外用治療を行い, 下腿は1ヵ月で上皮化したが, 踵部は皮膚全層壊死となったため, 受傷50日目にデブリードマンと内側足底皮弁による再建を行った. 術後経過は良好で, 術後1年で潰瘍の再発は認めず歩行可能である. 踵のみが全層壊死となった原因は, 炎天下で長時間黒いゴム長靴を装着したことによる低温熱傷と考察した. プレホスピタルケアにあたる救急隊との情報共有の重要性を再認識した.