2020 年 46 巻 5 号 p. 192-198
症例は顔面Ⅲ度熱傷受傷後2年が経過した30代前半の女性である. 上口唇赤唇部の組織不足によって常に上顎前歯部が露出しており, 上口唇の修正を希望していたため, 両側の頬粘膜筋弁を用いて形成術を行った. 第1回目の手術では有茎の両側頬粘膜筋弁を用いて組織量の増大を図ったが, 口笛様変形 (whistling deformity) が生じたため, 第2回目の手術で両側対のV-Y advancement flapを用いてこれを修正した. さらに上口唇赤唇部の自然な形態を得るため, 第3回目の手術でキューピッド弓を再建した. これら一連の手術の結果, 上口唇の形態は著しく改善した.