海外においてmicrograft sprayの創傷治癒に対する有効性が報告されているが, 本邦でこれを用いて熱傷治療を行った報告はなく, 今回RIGENERA®システムによるmicrograft sprayを併用して治療した熱傷症例を経験したので報告する.
症例1は62歳女性の上肢の熱傷に対して人工真皮で真皮様組織構築後3倍メッシュ, パッチ植皮に併用した. 症例2では80歳男性の上肢, 胸腹部の熱傷に対して人工真皮で真皮様組織構築後3倍メッシュ, パッチ植皮に併用した. 両症例ともmicrograft sprayを併用することでメッシュ間隙の上皮化期間が短縮し, パッチ植皮片周囲の上皮化は促進して, 良好な創閉鎖を得た. 培養の必要はなく手技も簡便であり, micrograft sprayを併用した分層植皮術は今後の熱傷治療の新しい選択肢として期待できる.