熱傷
Online ISSN : 2435-1571
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看護
国内文献から捉えた熱傷患者の家族看護の現状
佐藤 実李村中 沙織伊藤 美智子牧野 夏子
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2022 年 48 巻 3 号 p. 114-121

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抄録

 本研究の目的は, 国内文献から熱傷患者の家族看護の現状を明らかにすることである.
 国内文献は, 医学中央雑誌WEB版を用いて「熱傷」「家族」「看護」をキーワードとして原著論文のみを対象に, 発行年の期間を限定せずに検索した. つぎに, 抽出された53文献の抄録を精読し, 熱傷患者の家族看護に関する記述のある28文献を分析対象とした. 分析対象の28文献について, 出版年, 掲載雑誌, 研究手法, 研究対象の発達段階を分類・整理し, 熱傷患者の家族看護の記述を類似性と相違性に基づき帰納的に文脈単位ごとに抜粋して要約後にカテゴリー化した. 文献の選定および分析は共同研究者間で繰り返し検討し, 整合性と妥当性の確保に努めた.
 分析結果から, 対象文献は1990年~2013年に出版されており, 掲載雑誌は『熱傷』が最も多かった. 熱傷患者の家族看護に関する記述は189文脈単位抽出され, 20のサブカテゴリーと【熱傷受傷直後から始まる家族の情緒的反応への対応と家族機能の調整】【熱傷の病期に応じた家族情報を基盤とした家族の現状理解のための支援】【意思決定のための家族との情報共有と代理意思決定支援】【終末期における死の受容を促す支援】【家族と医療者の協働による安全な療養生活のための支援】【家族と入院中の患児の愛着形成促進の支援】の6つのカテゴリーが生成された.
 熱傷患者の家族看護として, 突然の受傷によりもたらされる家族の情緒的反応や家族機能維持への介入や長期的な治療経過における現状理解への継続的支援, 医療チームと家族間での情報共有を基にした意思決定支援, 退院後の安全な療養生活を見据えた院内外の多職種連携や社会資源調整など, 入院直後から退院までの長期にわたる治療の時期に応じた支援内容が明らかとなった. また, 終末期などにおける熱傷創部への配慮を要する支援, 患児との愛着形成促進の支援は熱傷患者の家族看護において特徴的な支援であることが明らかとなった.

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© 2022 一般社団法人 日本熱傷学会
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