熱傷
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Print ISSN : 0285-113X
症例
MEEK植皮の使用経験
遠藤 淑恵吉牟田 浩一郎伊達 直人松尾 優美天願 翔太石井 美里宗 雅
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2023 年 49 巻 2 号 p. 72-80

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抄録

 MEEK植皮片カッター®は2020年に本邦で使用が開始され, 当院では2020年9月から2021年12月の期間に5名の患者 (男性3名, 女性2名, 年齢64.0±17.0歳, 熱傷面積18.8±16.1%TBSA) にMEEK植皮を行った. 自験例ではメッシュ植皮にくらべ生着率の向上や上皮化の早期化などの結果は得られなかったが, 植皮片が不生着に見えても予想以上に保存的に上皮化する印象を受けた.
 MEEK植皮はメッシュ植皮にくらべ上皮化が早く手術時間が短く皮膚拡張に優れているなど肯定的な報告が多く, MEEK植皮が上皮化に有利な機序に関して考察した. MEEK植皮は植皮片から周囲へ上皮が進展するため上皮細胞と創面との境界線 (界面) が拡大し上皮化にいたる. 上皮化までの間, 先進部の細胞密度が上昇せず細胞接触抑制による細胞増殖停止作用が少なく, 上皮化完了まで細胞増殖し続けるため上皮化に有利と推測された.

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© 2023 一般社団法人 日本熱傷学会
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