2012年1月から2021年12月までの過去10年間に金沢医科大学病院形成外科を受診した未就学乳幼児 (0~6歳) について調査を行った. 対象症例119例に対して, 電子カルテを用いて, 性別, 受傷時年齢, 受傷原因, 受傷時期, 熱傷面積, 深達度, 受傷部位, 入院の有無, 手術の有無について後方視的に検討した. さらに日本熱傷学会熱傷入院患者レジストリー (以下, 熱傷レジストリー) と比較検討を行った.
熱傷レジストリーと同様に, 性別は男児が多く (58.0%) , 受傷時年齢は3歳以下に多くみられた. 男女ともに1歳が最多であり, 0歳から1歳までで全体の半数以上を占めた. 受傷原因は, 月齢の浅い乳児では養育者の過失によるものが大部分を占めた. 成長に伴う行動範囲の拡大によって熱傷の受傷状況は変化した. 児の発達と生活環境に影響され, 各成長段階において特徴がみられた. 熱傷面積では5%未満が95例 (78.9%) と大半を占めた. 特に1%未満が34例 (28.6%) と小範囲の症例が多かった. 深達度はSDBが87例 (73.1%) と最も多かった. 受傷部位別では, 手部, 手指が30部 (20.9%) と最も多く, 上腕, 前腕が28部 (19.6%) と上肢が圧倒的に多数を占めた. 受傷後入院となったのは13例 (10.9%) であり, 入院症例の受傷面積の平均は9.9%, burn indexは4.69であった. 手術となった症例はなかった.
熱傷レジストリーや過去の報告と比較して同様の結果であったが, 乳幼児の熱傷は発生予測が可能であり, 諸家が報告しているように養育者への啓発が重要と考える.
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