熱傷
Online ISSN : 2435-1571
Print ISSN : 0285-113X
症例報告
水酸化ナトリウムによる広範囲化学損傷に対し, 自家培養表皮を用いて治療した1例
米村  拓大島 純弥関堂 充朴 啓俊横田 航志榎本 有希下條 信威井上 貴昭
著者情報
ジャーナル 認証あり

2026 年 52 巻 2 号 p. 96-102

詳細
抄録

 広範囲熱傷における自家培養表皮 (cultured epidermal autografts;以下CEA) の有用性は確立されているが, 化学損傷での使用報告はきわめて少ない. 今回われわれは, 水酸化ナトリウムによる広範囲化学損傷に対し, CEAを使用した1例を経験したので報告する. 症例は42歳, 男性. 水酸化ナトリウムを含む水槽に転落し, 総体表面積 (total body surface area;%TBSA) 85%の深達性Ⅱ度 (deep dermal burn;以下DDB)+Ⅲ度 (deep burn;以下DB) 化学損傷を受傷した. 深達度が確定するまで保存的に経過をみたが, ほぼ全領域ともDBに進行した. 自家分層植皮併用下でCEA移植を実施し, 一時約7割の創閉鎖を得られたが, 多剤耐性緑膿菌による菌血症の制御が困難であり, 第138病日に多臓器不全により死亡退院となった. 広範囲化学損傷においてCEAは有効な治療選択肢となりうるが使用報告はきわめて少ないため, 有効性についてはさらなる報告の集積が望まれる.

著者関連情報
© 2026 一般社団法人 日本熱傷学会
前の記事 次の記事
feedback
Top