脈管学
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総説
肺動静脈奇形に対する治療戦略—再発しない塞栓術のために—
下平 政史太田 賢吾鈴木 一史後藤 多恵子芝本 雄太
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 57 巻 9 号 p. 119-123

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抄録

肺動静脈奇形は,肺動脈と肺静脈の異常な右左短絡であり,慢性低酸素血症により,労作性呼吸困難やチアノーゼなどの症状が生じる。さらに右左短絡のため,静脈血内の血栓や細菌が,肺の毛細血管にトラップされず左心系に流れ,脳梗塞や脳膿瘍という重篤な中枢神経系合併症を引き起こす。現在,塞栓術が一般的な治療法であるが,ときに血流が再発することが知られており,再発は,「塞栓した部分に血流が再開するrecanalization」,「正常肺動脈からの側副血行路によるreperfusion」,「複数のfeeding arteryを有する肺動静脈奇形における未治療feeding arteryの残存」,「気管支動脈などの体循環系からのreperfusion」に分類される。再発した血流は中枢神経系合併症を引き起こす可能性があり,再発が生じないように塞栓術を施行する必要がある。とくに最も頻度の高いrecanalizationを防止するためには,塞栓部分のtight packingが重要である。

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