Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
ISSN-L : 1345-8647
フラグメント分子軌道法によるホタルルシフェラーゼの発光特性に関する理論的研究
田上 歩石橋 延裕加藤 太一郎田口 尚貴望月 祐志渡邉 博文伊藤 三香田中 成典
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2008 年 9 巻 p. 47-54

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抄録

フラグメント分子軌道(FMO)法は、生体高分子をフラグメントに分割することにより計算時間を大幅に短縮し、タンパク質やDNAなどの巨大分子系全体を量子論的に扱う計算方法として近年注目を集めている。本研究ではその中の1手法である多層FMO(MLFMO)を用いて、ホタルルシフェラーゼの励起状態計算を行った。計算に用いた構造は、野生型(緑色に発光)と橙色、赤色に発光する変異体の計4つである。発光体オキシルシフェリンと活性中心を含む比較的小規模な系で計算を行い、その結果4つの構造に対する発光エネルギーを実験値と相関して再現することに成功した。タンパク質の全体構造においても励起状態計算を行い、実験値と計算値の差を比較したところ、4つの構造において最大でも0.27eVの差と、実験値を定量的に再現することにも成功した。本報告ではその詳細と、発光色制御における周辺環境場の重要性について述べる。

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© 2008 日本化学会
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