日本補完代替医療学会誌
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サナギタケ培養液のがん細胞増殖抑制作用に関する研究
東野 正行堀江 宏伊藤 正勝田中 恵子福田 泰樹西田 升三村田 和也松田 秀秋
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2013 年 10 巻 1 号 p. 51-57

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抄録

サナギタケ (Cordyceps militaris Vuill Fr.) は抗がん作用を示すコルジセピンを産生する事で知られている.当初,コルジセピンを多く産生する培養条件を検討する目的でサナギタケの培養を行った.その培養液を用いて各種がん細胞に対する増殖抑制作用を検討した結果,コルジセピン以外にもがん細胞の増殖を抑制する作用を示す物質の存在が示唆された.そこで,ヒト由来白血病細胞 (HL-60) の増殖抑制を指標として,サナギタケ培養液の成分を各種クロマトグラフィ-を用いて精製した.その結果,核酸構成塩基であるウラシルを単離した.
一般的に,ウラシルはがん細胞増殖抑制作用を示さないことから,ウラシル以外の物質の寄与が疑われた.そこで,サナギタケ培養液より分離したウラシルを ICP-MS により分析した結果,Na,K,Mg などのアルカリ金属およびアルカリ土類金属が多く存在することが判明し,ウラシルとこれら金属類との複合作用により増殖抑制作用が発現したと考えられた.

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© 2013 日本補完代替医療学会
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