抄録
紅茶葉抽出物 (JAT) の α-グルコシターゼ活性に及ぼす影響を検討した.JAT は酵母由来 α-グルコシターゼ活性を有意に,かつ濃度依存的に阻害し,その程度は食後過血糖改善薬,アカルボース (ACA) よりも強かった.また,2 型糖尿病モデル動物,db/db マウスに JAT (500 mg/kg) および ACA(同 100)を経口投与し,直ちにスクロースを負荷 (2 g/kg) した後,経時的に血糖値及びインスリン値を測定した.その結果,両群の血糖値は 30 分および 60 分後で有意に低下し,インスリン値は変化を示さなかった.JAT および ACA を経口投与し,スクロース負荷後に最も高い血糖値を示した 30 分後の摘出小腸スクラーゼ活性は,いずれも無処理群に対し有意に低下した.さらに,5 週間の JAT および ACA の混餌投与では,いずれも血糖値,インスリン値等に影響を及ぼさなかった.以上より,JAT はインスリン値に影響することなく,小腸 α-グルコシターゼ活性を阻害することにより食後高血糖を是正する有用な機能性食材と考えられた.