日本補完代替医療学会誌
Online ISSN : 1348-7930
Print ISSN : 1348-7922
ISSN-L : 1348-7922
原著
データサイエンスから解明される世界の食用生物の多様性とヘルスケア
渡部 聡之許 鳳浩劉 康江口 遼平モハマド アルタフル アミン森田(平井) 晶大橋 美名子小野 直亮黄 銘朱 燕波王 琦戴 昭宇中村 由紀子クラウス ランゲ上馬塲 和夫橋本 慎太郎金谷 重彦 鈴木 信孝
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2018 年 15 巻 1 号 p. 37-60

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抄録

本研究は,アクセスできる天然食材による世界の地域の類似性を把握する目的で,世界中の文献を調査し,各地域の天然食材の情報を集積し,データ・サイエンスにより食材活用から世界の地域を分類した.11,752種の食用生物と228地域から構成される28,064件の天然食材とそれを活用する地域の関係に基づいて,クラスター分析法により分割される39個のグループについて,天然食材の活用による地域の類似性を検討した.すべてのデータはKNApSAcKデータベース(http://kanaya.naist.jp/KNApSAcK_World/top.jsp)より閲覧可能である.この39グループについてさらに包括的グループA~Kを定義し,地域の天然食材の多様性を解析した.大陸では地中海,バルト海,西ヨーロッパ,ユカタン半島,南アメリカ,アフリカとアラビア半島,東南アジア,北極海の8地域,また,諸島ではカリブ海諸島,東南アジア諸島,太平洋諸島の3地域にそれぞれ共通する天然食材を活用する傾向がある.このような天然食材の多様性は,地理的要因,気候要因,海流の影響,および物流により特徴づけられる.さらに,これらの天然食材による人のゲノム遺伝学への影響について考察した.データ・インテンシブ・サイエンスでは,膨大なデータの内容を体系的に理解し,特定の目的に関する情報得ることが目標である.人の健康を持続可能なエコシステムと関連付けるという課題の解明における本研究有効性を示した.また,日本の農林水産省が目指す,和食をもとづいた農作物の世界への輸出における本データベースの活用法を提案した.

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