日本補完代替医療学会誌
Online ISSN : 1348-7930
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ISSN-L : 1348-7922
原著
入院中の認知症高齢者に対する農作業を含めた集団活動の効果に関する多変量統計的考察
津曲 優子 金谷 重彦高田橋 篤史田村 俊世三山 吉夫辻 美和
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2022 年 19 巻 1 号 p. 33-40

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抄録
この研究の目的は,多変量統計分析を使用して入院中の認知症高齢者の認知機能,身体機能,動機付け,日常生活動作(ADL),自己効力感および生活の質(QOL)に対する農業活動の影響を評価することである.認知症高齢者に対し,従来の活動を2か月間行った後,週1回農作業活動に置き換えて2か月間行った.農作業活動では,従来の活動よりも高いスコアを示した.主成分分析(PCA),相関分析,および重回帰分析(MRA)によって比較した結果,主成分分析から,動機づけ,筋力,歩行能力,運動能力は農作業活動中に改善する傾向があったが,認知機能,日常生活,行動障害に有意差はなかった.相関分析では,歩行速度,歩行時間,Timed up and Go test (TUG),握力で高いスコアを示した.MRAは,農作業活動中に改善された身体機能が改善されることを示したが,認知機能とADLには有意な改善はなかった.したがって,農業活動は身体機能の改善に役立つ可能性があることがわかった.認知機能とADLへの影響を議論するには,長期的な評価が必要である.
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