日本補完代替医療学会誌
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19 巻, 1 号
日本補完代替医療学会誌
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
原著
  • 立川 啓太, 千寺丸 晴香, 田村 幸恵, 中田 弘子
    原稿種別: 原著
    2022 年 19 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー
    本研究は,森林映像が前頭前野活動に与える影響を明らかにすることを目的とし,近赤外分光法(NIRS)による前頭前野oxy-Hb濃度とRE尺度によるリラックス状態の変化,視聴後の自由記載から検討した.対象は健康な女子大学生21名であり,すべての被験者に,森林映像と人工映像の2条件をランダムな順序で視聴させた.映像視聴中と視聴後における条件間比較では有意な差はみられなかった.各条件の視聴中・後比較では,森林映像は左前頭前野oxy-Hb濃度が有意に増加した.RE尺度では,人工映像は「不安-安心」,「束縛的-解放的」,「不快-快」の3項目が有意に低下し,森林映像は「気分が高ぶっている-のんびりしている」,「力が入る-力が抜ける」,「不安-安心」,「束縛的-解放的」,「不快-快」に有意な改善がみられた.以上より,森林映像の視聴は主観的にはリラックス感を高めるが,生理的には左前頭前野を活性化させる可能性が示唆された.
  • 鈴木 信孝, 大桑 ( 林 ) 浩孝, 許 鳳浩
    原稿種別: 原著
    2022 年 19 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー
    成人男女を対象として,ハトムギ全粒熱水抽出エキス (Coix-seed Reactive Derivatives: CRD) を含む粉体食品を摂取した際の長期安全性を評価した.方法は男性 6名,女性1 名(平均年齢47.4 歳)に CRD として2.2~4.4 g / 日を 1年8ヶ月間から5年0ヶ月間 (平均2年9ヶ月間)摂取させ,体重,バイタル(血圧,脈拍数),抹消血液検査,血液生化学的検査等を摂取前と摂取後毎年一回定期的に測定した.また,副作用の発現の有無を調査した.結果は,バイタルや検査結果に特記すべき変動は認めなかった.以上のことから,CRD の長期摂取は安全性に問題はないと推察された.今後さらに観察症例を増やして研究を続けていく予定である.
  • 小池 秀和, 宮尾 武士, 金山 あずさ, 鈴木 和浩
    原稿種別: 原著
    2022 年 19 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー
    シスプラチン(CDDP)耐性膀胱癌に対し,抗腫瘍効果と補完効果を持つ食品の開発を目的とした.先ず,ヒト膀胱癌細胞UMUC3をCDDP存在下で長期培養し耐性細胞UMUC3-CRを作成した.UMUC3-CRではアンドロゲンレセプター(AR)mRNA等の発現が増加し,ゲニステイン,ビタミンCで腫瘍増殖が抑制された.また,親細胞UMUC3移植マウスでは,チーズの自由摂取にて生存期間の延長が認められた.そこで,豆乳,チーズ,ビタミンCを主成分とするこんにゃくゼリー(KIK300)を作成した.UMUC3-CR移植マウスにKIK300を自由摂食させた結果,腫瘍増殖が抑制され,血管内皮細胞増殖因子(VEGF)mRNA発現の低下が見られた.また,体重の減少は認めず,肌状態の良化,運動時間の延長を認めた.以上より,作成したKIK300はシスプラチン耐性膀胱癌に対して抗腫瘍効果かつ補完効果を持つ可能性が示唆された.
  • 原稿種別: 訂正記事
    2022 年 19 巻 1 号 p. e1-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    ジャーナル フリー
    日本補完代替医療学会誌 第19巻第1号(2022年)p15-21「シスプラチン耐性膀胱癌に対する豆乳,チーズおよびビタミンCを混合したオリジナルこんにゃくゼリーの抗腫瘍効果と補完効果」について,著者からの申し出により内容を訂正します。
  • 永井 栄美子, 奥田 みずほ, 鈴木 信孝, 滝埜 昌彦, 伊勢川 裕二, 榎本 俊樹
    原稿種別: 原著
    2022 年 19 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー
    目的:本研究では石川県産農林水産物の機能性を明らかにすることを目的に,これらの抗インフルエンザウイルス(IFV)作用について検討を行った.
    方法:MDCK細胞にIFVを感染させ,熱水抽出物含有培地で24時間培養した.24時間後に上清のみを回収し,上清中のウイルス力価をフォーカス法により測定した.また,活性が確認できた試料についてはTime-of-addition assayを行い,ウイルス増殖過程における阻害段階を確認した.
    結果:コゴミ,赤ズイキ,クワイ,シコクビエにおいて強い抗IFV作用を確認することができた.また,いずれの試料もウイルス増殖過程において複数段階で活性を示すことが明らかとなった.
    結論:今回,計44種類の石川県産農林水産物の抗IFV作用を検討し,4つの試料(コゴミ,赤ズイキ,クワイ,シコクビエ)で強い活性が確認できた.また,これらに含まれる有効成分の単離・同定が今後の課題として残された.
  • 津曲 優子, 金谷 重彦, 高田橋 篤史, 田村 俊世, 三山 吉夫, 辻 美和
    原稿種別: 原著
    2022 年 19 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/04/14
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,多変量統計分析を使用して入院中の認知症高齢者の認知機能,身体機能,動機付け,日常生活動作(ADL),自己効力感および生活の質(QOL)に対する農業活動の影響を評価することである.認知症高齢者に対し,従来の活動を2か月間行った後,週1回農作業活動に置き換えて2か月間行った.農作業活動では,従来の活動よりも高いスコアを示した.主成分分析(PCA),相関分析,および重回帰分析(MRA)によって比較した結果,主成分分析から,動機づけ,筋力,歩行能力,運動能力は農作業活動中に改善する傾向があったが,認知機能,日常生活,行動障害に有意差はなかった.相関分析では,歩行速度,歩行時間,Timed up and Go test (TUG),握力で高いスコアを示した.MRAは,農作業活動中に改善された身体機能が改善されることを示したが,認知機能とADLには有意な改善はなかった.したがって,農業活動は身体機能の改善に役立つ可能性があることがわかった.認知機能とADLへの影響を議論するには,長期的な評価が必要である.
短報
症例報告
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