2010 年 7 巻 2 号 p. 125-128
月経周期と持久性運動による酸化ストレス指標の変動について,非侵襲的に採取できる唾液を用いて検討した.健常女性 7 名を対象に,月経周期各期の安静時の酸化ストレスを測定し,さらに持久性運動時の酸化ストレスの変動を卵胞期と黄体期に評価した.持久性運動は無酸素性作業閾値 (AT) 基準の自転車エルゴメータ運動を 60 分間実施し,30 分毎に計 5 回唾液を採取した.唾液サンプルを使用して,酸化還元電位 (ORP) と女性ホルモン濃度を測定した.ORP を指標とした安静時の酸化ストレスは月経期が最も高く,中等度強度の持久性運動では黄体期と比較して卵胞期において酸化ストレスが有意に上昇した.唾液の酸化ストレス指標が月経周期と持久性運動によって変動することが示唆された.