子どものこころと脳の発達
Online ISSN : 2435-8819
Print ISSN : 2185-1417
総説
バルプロ酸の胎内曝露による発達障害モデルの作製と新規薬物療法の追究
田熊 一敞
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2021 年 12 巻 1 号 p. 26-33

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抄録

自閉スペクトラム症(ASD)は,社会性・コミュニケーションの障害,興味の限定・反復的な常同行動を特徴とする発達障害の1つである.近年,母親の妊娠中のウイルス感染,薬物摂取やビタミン不足などによってASDの発症リスクが増大することが示され,薬物摂取に関しては,2000年代後半に「妊娠中の抗てんかん薬服用により出生児のASD発症リスクが増大する」との臨床報告がなされている.本稿では,著者の研究グループがこの臨床知見に着目して作製・確立した“バルプロ酸の胎内曝露によるASDモデルマウス”において見いだした知見を中心として概説し,ASDの病態解明ならびに薬物療法の開発に向けた今後の展望と“基礎研究”の課題について考察する.

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© 2021 大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
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