2021 年 12 巻 1 号 p. 17-25
近年,発達障がいの有病率は世界的に増加しており,発症メカニズムの解明や新しい治療法の開発が医学的・社会的に急務となっている.私たちは神経発達障がいのモデルとなりうる動物を作製し,その発症に関わるメカニズムの解明を目指している.本稿では,脳神経機能のメカニズムを理解するために私たちが開発した高速・高精細の全脳イメージング装置であるFASTシステムを用いた神経ネットワーク解析や神経活動のイメージング解析をはじめ,ASD患者などにおいてde novo変異の数が最も多く報告されているPOGZ遺伝子に注目した患者由来iPS細胞を疾患モデル細胞とした神経機能解析,変異導入マウスを用いた精神行動の解析など,さまざまな研究ツールを組み合わせて行ってきた研究の一部について紹介する.