2023 年 14 巻 1 号 p. 33-40
不登校の対策として,現状,不登校状態にある児童生徒への支援が中心になっており,未然防止の必要性が指摘されている.海外や子どもみんなプロジェクトの研究では,子どもの個人因子だけでなく,学校風土や家庭環境についても検討すべきだとされている.こうした流れの中,文部科学省のCOCOLOプランは,学校風土の向上,1人1台端末を利用した子どものリスクへの早期支援の仕組みの必要性に踏み込んだものであり,その流れの中で,現在,不登校要因調査が行われている.不登校対策については,この調査の結果を活かす必要がある.不登校支援について扱っている教育機会確保法は,その成立過程において,公教育の在り方について検討され,最終的に現状の追認に落ち着いたとの経緯がある.しかしコロナ禍を経験し教育DXが進んでいる今,学校という枠組み,公教育の在り方について検討が必要になる可能性があり,そのとき,不登校の理解や支援についても変化していく可能性がある.