2024 年 15 巻 1 号 p. 3-10
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により,子どもとその養育者を取り巻く環境が危機に直面した.この問題に早急に対応するため,福井大学子どものこころの発達研究センターでは,2021年9月からビデオ会議システムを利用したリアルタイム(同期型)のオンライン心理支援の予備的調査を開始した.この調査では,福井大学医学部附属病院子どものこころ診療部および共同研究機関を受診している神経発達症の子どもやその養育者を対象に,以下の4つのプログラムを実施した.①ソーシャルスキルトレーニング,②ペアレント・トレーニング,③ボーイズタウン・コモンセンスペアレンティング®,および④親子相互交流療法.その結果,オンラインによる心理支援は多様なライフスタイルを持つ親子に対して,時間や居住地域などの制約による支援への断念を防ぎ,さらに新たな支援やサービスへのアクセスへの向上に繋がることが期待された.