2025 年 16 巻 1 号 p. 52-56
ユニセフの報告書によれば,日本の子どもの精神的健康度は先進国の中でも特に低い.子どもの精神的問題の社会的要因に目を向けると,「子どもの権利」に関わる問題であることが多い.1989年に国連で採択された子どもの権利条約は,子どもを「権利の主体」として位置づけており,子どもの最善の利益を考慮し,子どもの意見(child’s view)を尊重することを,すべての大人に対して求めている.大人は無自覚に子どもの権利を侵害する可能性があるため,日頃から子どもの権利について学ぶとともに,自身が権力を持つ側である自覚を持ちながら子どもと関わることが重要である. 以上により本講義では,子どもをとりまく環境(家庭・学校・医療)における子どもの権利に関わる問題を取り上げ,大人として,また専門職として果たすべき役割について検討する.