2025 年 16 巻 1 号 p. 49-51
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)は,1960年代にベックがうつ病治療において自動思考に注目したことを契機に,行動療法と認知療法の統合として誕生した.その後,第二世代CBTとして認知理論の拡張とともに標準化が進み,第三世代CBTではマインドフルネスや価値指向行動が導入された.本稿では,CBTの歴史的変遷,実践において重要な基本姿勢(カウンセリングマインド,共同実証主義,適用範囲の認識,権力の非対称性の配慮)を概説し,パニック症に対する事例を通して,CBTの構造化された技法とクライエントとの協働的関係の重要性を論じた.さらに,ACTなどの発展系CBTの視点も紹介し,今後の技術的展開を踏まえつつ,治療者に求められる倫理的・関係的態度の重要性を強調した.