2016 年 15 巻 5 号 p. 119-123
正または負電荷を有するミューオン粒子を用いて,ミュオニウム(0.114 amu) およびミュオニックヘリウム(4.11 amu)と呼ばれる水素原子の同位体をつくりだすことができる.これを利用することによって,H/D/Tを超えた質量比の同位体効果を観測することができる.ミュオニウムはその小さな質量のため,化学反応系の水素原子がミュオニウムに置換されると,ゼロ点振動エネルギーやトンネル効果による大きな量子効果を示す.また,反応経路そのものが変化する例や,遷移状態が安定化する特異な現象も存在する.