抄録
SrTiO3とCaTiO3のTi-K XANESスペクトルの低エネルギー部分はメインピークと吸収端前ピークB、Cからなる。われわれは L2連続状態波動関数を取り入れたDV Xα法を用いて、これらのピークの帰属を行った。このDV Xα法をモデルクラスター[TiO6M8(TiO5)6M24]20+(M=SrまたはCa)に適用することにより、これらのピークの相対位置と強度を再現することに成功した。これらのピークはすべて、チタン原子の1s電子から同じチタン原子のp型原子軌道関数 (AO) への遷移であることがわかった。一般に、モデルクラスターの中心のチタン原子のp型AOはその周囲の原子のさまざまなAOと混合する。このように、典型的なペロブスカイト型チタン酸塩であるSrTiO3とCaTiO3のメインピークと吸収端前ピークの起源を単一の理論的枠組みの中で矛盾なく説明することができた。