2023 年 11 巻 p. 45-53
本研究は,救急・集中治療領域における医療スタッフ(医師,看護師,臨床工学技士)の多職種連携協働と倫理的苦悩ならびに,終末期ケアに対する態度との関連について検討することを目的とした。地域医療支援病院の救急・集中治療領域の医療スタッフ193名を対象とし,無記名自記式質問紙調査では,基本属性,多職種連携協働,倫理的苦悩,終末期ケアに対する態度を把握した。独立変数を多職種連携協働とし,各従属変数を倫理的苦悩,終末期ケアに対する態度とし,多変量ロジスティック回帰分析を行った。分析の結果,多職種連携協働の認識が高かった医療スタッフは,認識が低かった者に比べて,倫理的苦悩が低かった(オッズ比=0.87,95%信頼区間=0.74~1.00)。終末期の患者・家族の治療やケアを多職種にて共有・検討することで,倫理的苦悩を低減させる可能性が示唆された。